◆　カバさん新聞　◆

第１４回　ドクターコラム　(2011-08-18)

岸田歯科医院　大沢弘道



　私事ですが、去年の夏に富士山に登ってきました。学生の時に、ワンダーフォーゲル部に所属していたので、日本アルプスの山々を縦走した経験があり、槍ヶ岳、穂高連峰、後立山連峰、南アルプスの白峰三山等を各7泊8日で、テント・食糧を担ぎ入山したことがあります。そして、当時、富士山はいつかきっと誰かと登る日が来るだろうと思い、学生の時はあえて登ることは避けていました。そして、友人の一人が２、3年前から、山行するようになったと聞き、誘ってみたところあれから20年余りの思いがようやく実現し、この友人と富士山を登ることになりました。20年前の時は確かに辛くも感じたりしましたが、コースタイムの約6割程度の早さで歩いていたので、富士山の5合目から頂上までのコースタイム5時間45分を聞いて4時間位で登れるだろうと甘く考えていました。しかし、やはり体力の衰えは確実に進行しているようです。登ってみるとほぼコースタイムと同じか、すこし余分にかかってしまいました。登るにつれて空気が薄くなり8合目ぐらいになると、高山病なのか少し頭痛もしてきました。持参したアルミ箔に包まれた栄養食品のSOY JOYを見るとアルミ箔がパンパンに膨れ上がって破裂しそうになっており、気圧が低くなっていることが実感できました。午後になると小雨も降ってきて、朝の10時から登り始めて午後4時に9合目の山小屋に辿り着いた時には、椅子にへたり込み荷物も下ろさず、ただ深呼吸するばかりでした。予定では、午後3時頃に起きて山頂でご来光を拝む予定でしたが、少しの頭痛と気分不快が続き出発できる気分ではありませんでした。下山も考えていたのですが、朝７時頃まで寝ていると気分も良くなり天気もよかったので、山頂を目指すことになりました。ただ、少しの頭痛だけは、相変わらず続いておりこればかりは標高を下げないと治らない様でした。９合目からは勾配もかなり急になり息はあがりっぱなしでした。晴れてはいましたが、景色は、下の山小屋が見えるだけで、見えても５合目の駐車場が見えるぐらいで感動するような場面はありませんでした。１１時頃にようやく頂上の浅間大社奥宮に着きました。ここで２０分程の休みを兼ね記念写真と土産を買い、最後の剣ヶ峰の石碑を目指しました。剣ヶ峰はすぐ目の前なので５分位で着きそうな所なのですが２０分程かかりました。日本一高い地点に立った証しとして剣ヶ峰の石碑と記念撮影をとり、感無量のおももちとなりました。苦しさもあり、この達成感はなにものにも替え難い最高のものでした。是非皆さんも少々つらいですが富士山登山に一度挑戦してみてはいかがでしょうか。ちなみに、日本アルプスの時は、登っている時は辛かったのですが、頂上で上から見下ろす夕焼けや雲海のなかから登る日の出・きれいな山並みを見ると登ってよかったと思い、また、いつかは登ってみたいと思ったものです。しかし、富士山は一度は登ってみたいと思うけど、登ったら日本一の地点に立ったという達成感はありましたが、景色も良くなく辛さのほうがはるかに大きく二度と登りたくないと思うそんな山でした。ところで、高い山を数えるのに１座、２座と数えるのはどうしてかご存知ですか？山は昔から神聖な場所とみなされ信仰の対象となっていたため、山は神が宿って座っているところと考えられていました。それで、１座、２座と数えるそうです。余計なことですが、私は富士山を制して、日本の高い山５座―富士山、北岳、奥穂高岳、間ノ岳、槍ヶ岳―を制したことになりました。私のプチ自慢です。



カバさん新聞一覧へ